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会計税務ニュース

【韓国の会計・税務レポート】域外脱税者及び多国籍企業に対する税務調査の着手

国税庁は、韓国の課税主権を守ると同時に、国内で消費・投資に活用されるべき国富を流出させる域外脱税行為を厳重に処断するため、去る2020年8月27日、税務調査に着手したとの内容の報道資料を配布しました。国税庁が今回着手した調査対象者の脱漏類型は、①海外資産の隠匿、②非居住者身分を利用した納税義務の回避、③海外現地法人等への資金流出、④多国籍企業の租税回避等の4つです。

 

以下では、国税庁が明らかにした主な脱漏類型を紹介します。

 

1. 租税回避先等の金融口座を利用した海外資産の隠匿行為(類型1)

 

スイスの秘密口座を利用した事例で、国内で薬品製造会社を運営している社主が海外関係会社に核心技術を無償提供し、製品を低価で販売する方法で、国内に帰属されるべき所得を海外に移転しました。その後、海外関係会社が当該資金を海外に所在する異なる社主所有の書類上の会社に仲介手数料を支払ったものと偽造し、海外関係会社の資金を再流出後、社主名義のスイス秘密口座に資金を隠匿した嫌疑です。

 

次は、香港の秘密口座を利用した事例です。内国法人を運営してきた社主が、内国法人の株式を外国会社に売却した売却代金のうち、一次で受取った金額のみを株式譲渡所得として申告しました。しかし、買収者と秘密締結した収益連携ボーナス(Earn-out bonus: 株式譲渡後に譲渡対象法人が目標収益を達成した場合に追加で支払う対価)約定により受けとった追加ボーナスを、香港に開設した本人の口座で受け取って隠匿した嫌疑です。

 

2. 非居住者の地位を利用した納税義務の回避行為(類型2)

 

居住者である内国法人の社主は、外国永住権者としての身分を利用して外国の本人口座に資金を送金しました。その降、その外国に居住している配偶者と子女が資金を引出してアメリカの高級住宅を購入したり、一部資金を国内に再び持込み漢江沿いの高級マンションを購入する等、社主の財産を海外で配偶者と子女に便法で贈与した嫌疑です。

 

3. 海外現地法人・海外の書類上の会社を利用した資金流出行為(類型3)

 

郵便ポスト会社を利用した事例で、産業用資材を輸出する内国法人が数年前から製品に対する

需要が急増して輸出が大きく増加し、社主の親戚名義で租税避難処に郵便ポスト会社(事業目的や人的・物的施設がなく、現地会計士等が郵便物のみを管理している書類上の会社)を設立しました。その郵便ポスト会社を本来の取引先との間に入れて一旦低価格で輸出した後、同会社がこれを再び販売するものと偽装して域外裏金を作った嫌疑です。

 

次は、借名口座を利用した事例です。海外で製作した衣類を他の海外取引先に斡旋・仲介する事業を営む者が、実際には自分が仲介貿易業務を直接行っているのに、外国にある書類上の会社が仲介貿易を行っているものと偽装して書類上の会社に所得を隠匿しました。その後、外国に隠匿した所得を国内に搬入するため、80代の父母等一家親戚10名余りの口座を借り、数回に分けて国内に送金する手法で所得税を脱漏した嫌疑です。

 

4. 多国籍企業の攻撃的租税回避(類型4)

 

オンラインプラットフォーム(platform)を運営している多国籍企業の国内子会社は、数年間売上が持続的に増加しており、継続して商品注文量が急増する等好況でした。しかし、特別な経営諮問役務を受けていない外国親会社に対して経営諮問料の名目で数百億ウォンを支払う手法で国内子会社は赤字を出して法人税を納付しないこととし、外国親会社は虚偽役務代価を受け、国内で得た所得に対する税金を納付せずに国外に移転した嫌疑です。

 

別の事例で、オンラインプラットフォーム・サービスを提供する多国籍企業の国内子会社が、国内進出後に売上が徐々に増加し、新型コロナウィルスの影響等により非対面(Untact)文化が拡散されると、売上規模がより一層拡大されていました。このような成長の勢いにも関わらず、韓国に源泉徴収をして外国親会社に支払うべき使用料(Royalty)を、租税条約上源泉徴収しない事業所得と偽装して数百億ウォンを支払い、納税を回避した嫌疑です。

 

次は、海外ブランド品に関連する事例です。海外ブランド品を販売している多国籍企業の国内子会社は、デパート・免税店等の販売好調により売上規模が持続的に増加していました。当該企業は、韓国市場で自社製品に対する人気が高く維持され、持続的に数回にかけて値上げして販売(同一製品に対し、外国より高い価格を策定)し、国内に納付する税金を減らすため、外国本社から輸入する製品価格を著しく高く策定(高価輸入)する手法で国内営業率を低くし、国内に帰属されるべき所得を不当に国外に移転した嫌疑です。

 

海外ブランド品に関わる別の事例で、全世界で有名なブランド品を販売する多国籍企業の国内子会社は、自社製品の高い認知度を利用して持続的な好況に乗じていました。しかし、外国親会社に商標の使用料(Royalty)を支払う際に国内に納付すべき税金(源泉徴収)を回避するため、今まで支払っていた使用料を製品価格に含めて使用料を支払わないものと取引構造を操作し、納税せずに国内で得た所得を国外に移転した嫌疑です。

 

 

- 以上 -