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会計税務ニュース

【韓国の会計・税務レポート】2020年税法改正案の発表

去る7月22日、企画財政部は2020年税法改正案を発表しました。今回の税法改正案は、「経済危機の早期克服支援及び包容·共生·公正に基づいたサポート」という目標の下、‘新型コロナウィルスによる被害克服及びポストコロナに備えた経済活力向上’、‘包容基盤の拡充及び共生・公正の強化’、‘租税制度の合理化及び納税者に親しまれる環境醸成’に重点をおいて備えられ、20日間の立法予告期間を経た後、9月3日頃に定期国会に提出される予定です。

 

今回の税法改正案の中で主な内容を紹介します。

 

1.新型コロナウィルスによる被害克服及びポストコロナに備えた経済活力向上

 

1) 税額控除額の繰越控除期間の拡大

現行

改正案

税額控除額の繰越控除

全ての税額控除の繰越控除期間を10年に拡大

(対象)

納付税額がないか、或いは最低限税が適用され、控除を受けていない税額控除額

(対象)

同左

 

(繰越控除期間) 5年

–  創業初期中小企業(設立日から5年以内)の場合

ㆍ 中小企業投資税額控除:7年

ㆍ R&D費用税額控除:10年

–  新成長・源泉技術R&D費用税額控除:10年

 

10年

 

2) 欠損金繰越控除期間の拡大

現行

改正案

欠損金繰越控除

¡ (控除期間) 10年

¡ (控除限度)

–  一般企業:所得の60%

–  中小企業・回生計画履行中の企業等:所得の100%

欠損金繰越控除期間の拡大

¡ 10年 → 15年

¡ 同左

 

 

3) 外国納付税額控除繰越控除期間の拡大及び未控除繰越額の損金算入許容

現行

改正案

¡ 外国納付税額控除の適用方法

–  限度*内算出税額から控除

* 算出税額×

国外源泉所得

課税標準

¡ 税額控除の繰越控除期間の拡大及び未控除の繰越額損金算入

 

–  限度超過額の繰越控除期間:5年

–  5年 → 10年

<追加>

–  控除期間内に未控除外国納付税額繰越額は、控除期間が終了した翌課税年度に損金算入

 

4) 証券取引税率の引下げ

現行

改正案

¡ 証券取引税の税率

(コスピ) 0.1%*

* 農漁村特別税 0.15%

(コスダック) 0.25%

(コネクス) 0.1%

(非上場・場外取引)0.45%

¡ 税率の段階的な引下げ(△0.1p)

区分

現行

’21~’22年

‘23年

コスピ*

0.1%

0.08%

0%

コスダック

0.25%

0.23%

0.15%

コネクス

0.1%

0.1%

0.1%

その他

0.45%

0.43%

0.35%

* 農漁村特別税は、0.15%の現行維持

 

 

2.包容基盤拡充及び共生・公正の強化


1) 中小企業特別税額減免の対象業種追加及び適用期限の延長

現行

改正案

¡ 中小企業の所得・法人税の5~30%税額減免

区分

業 種

減免率(%)

小企業

中企業

首都圏

卸・小売業、

医療機関運営業

10

製造業など
残り44業種

20

0

知識基盤産業

20

10

地方

卸・小売業、
医療機関運営業

10

5

製造業など
残り44業種

30

15

その他

電気車を50%以上
保有している

レンタカー事業者

30

¡ 税額減免対象業種の追加及び適用期限の2年 延長

(対象) 製造業など46業種及び電気車を50%以上保有しているレンタカー事業者

(対象) 製造業など48業種

 

<追加>

 

–   通関代理及び関連サービス業*

* 減免率は物流産業の50%水準で設定

<追加>

 

 

 

–  電気車を50%以上保有している自動車賃貸業*

*   現在業種以外に別途規定された事項を業  種に反映

(適用期限)’20.12.31

(適用期限)’22.12.31

 

3.租税制度の合理化及び税入期間の拡充


1) 個人類似法人の超過留保所得を配当とみなす

現行

改正案

<新 設>

¡ 個人類似法人の超過留保所得を配当とみなす。

 

(適用対象) 最大株主*及び特殊関係者が80%以上持分を保有している法人**(個人類似法人)

 

*   特殊関係者と共に最大持分を保有している株主

**  事業特性などを勘案し、除外法人は施行令に規定

現行

改正案

 

(課税方式) 超過留保所得は株主に配当したものとみなし、株主に配当所得税を課税

–  配当みなし金額

=  超過留保所得(留保所得-適正留保所得)×持分比率

 

4.その他


1) 貸倒金のうち、損金不算入となる仮払金などから特殊関係人判断基準の明確化

改正案では貸倒金のうち、損金算入が制限される債権のうち特殊関係人に該当法人の業務と関係なく支給した仮払金などから特殊関係人を’貸与時点の特殊関係人’に修正し、損金算入が制限される仮払金などの特殊関係人の判断基準を明確にしました。

 

2) 国際取引関連資料提出義務の体系化及び資料提出期限の延長など

現行

改正案

¡ 統合・個別企業報告書提出の際、国際取引明細書など*提出したものとみなされる

* 国際取引明細書、正常価格算出方法申告書

※法人税申告時、別途免税確認書提出必要

¡ 統合・個別企業報告書の提出義務者は、国際取引明細書など提出義務免除

 

※免除確認書の提出不要

¡ 資料提出及び申告義務期限

–  国際取引明細書、要約損益計算書

→ 所得税・法人税確定申告の際

–  海外不動産及び海外直接投資申告制度

→ 所得税・法人税確定申告の際

¡ 提出時期延長

 

 

課税年度終了日以降6ケ月以内

 

 

 

–  海外金融口座申告書

→ 毎年6月末まで

–  同左

–  国際取引情報統合報告書

→ 事業年度終了日から12ケ月以内

–  正常価格事前承認年次報告書

→ 確定申告期限後6ヶ月以内

 

事業年度終了日以降12ケ月以内

 

3) 外国納付税額控除から損金算入方式の廃止

現行

改正案

¡ 益金算入

–  間接外国納付税額

(税額控除された場合のみ該当)

 

¡ 租税公課の損金不算入

–  各事業年度に納付済か納付する外国法人税額

¡ 益金算入する間接外国納付税額の明確化

–  間接外国納付税額

(税額控除適用を選択した場合)

 

¡ 損金不算入される外国法人税額の明確化

–  各事業年度に納付済か、或いは納付する外国法人税額

(税額控除適用を選択した場合のみ該当)

 

※個人の場合、税額控除を適用しない場合に限って、外国所得税額を必要経費として算入

¡ 税額控除と損金算入の中から選択可能

 

¡ 税額控除の可否を選択

(損金算入方式削除)

①  (税額控除) 限度内算出税額から控除

① (税額控除) 限度内算出税額から控除

②  (損金算入) 外国納付税額を各事業年度 の損金として算入

<削除>

 

 

- 以上 -